↑カットした一棹にびっしり栗のトッピング
どんどん延長で浅草シリーズも7回目。
まだ、あと一回ありますからよろしくね。
『栗むし羊かん』といえばもちろん雷門前の
龍昇亭西むら(台東区雷門2-18-11 火休(不定休・月3回) 9時〜20時)です。
●すごい老舗の実力派です
あまりに場所が良く、気取りがないので
「普通のおみやげ屋さん」と間違われそうですが、
実は元々「金龍山浅草寺」=観音様にお供物(上菓子)を納めている
安政元年(1854年)創業の誉れ高き、御菓子司です。
だから名前が『龍昇亭』。
(余談だけど観音様のお供物って年に五万個もあったらしい、
すごい数だ。どういう割合かは不明だけど。)
しかも、それ以前(注※)「掛茶屋」として
何と!文政12年(1829年)には
歌川(安藤)広重の雷門前に描かれているそうです。
―この絵がすごーく見たくてネット上で3時間以上探したけど、
見つけられない・・版画屋に行くか・・。
↑(こんな事ばかりしてるからなかなかアップ出来ないのよ。)
↑クリックね、雷門前の本店、向島の地蔵坂に支店がある
現在は5代目が京都などで修行を終えた後
伝統の和菓子作りに「勤しんで」いるようです。
(だっておいしいもの。)
浅草がすごいな、と思うのは
『龍昇亭西むら』 のような実力ある老舗銘店が
何気にアーケード風に軒を連ねているところ。
本当に何気なさ過ぎて、素敵。
『龍昇亭西むら』も
150年!もおいしいお菓子を作り続けているのだから
今更じたばた?する事はないのでしょう。
●浅草の季節と「ピンポイント」の菓子
大人気の『栗むし羊かん』は通年菓子だけど
こだわりの和菓子屋さんですから
実はほかにも「すっごいピンポイント」の
素敵な御菓子がたくさんあるのです。
↑後編では豆大福も登場
四季折々の上生菓子はもちろん、
例えば「縁日だけのお菓子」や「お酉様だけ」のお菓子など、
「浅草ならでは」の魅力的な数々のラインナップ。
もうまもなく、さすが!
『生栗むし羊かん』 (大好物!)も店頭に。
いつ頃から出ますか?と問いに
職人さんが「うーん、もう少し涼しくなってから」との答え。
はい、何月何日です、とは断言しない、
まさに肌で季節感を感じながらの和菓子作り。
前回、前々回の『塩埜』や『徳太楼』同様
『浅草のおいしい和菓子屋』さんは
「日常的」に「季節感」をとても大切にしている。
いつでも何でも作って消費する暮らしの中、
そんな本来当たり前のことが、普通に出来るのが素晴らしい。
簡単に売れれば何でもOK、は
「浅草手作りの和菓子」にはない言葉みたいです。
ですから、本当は11月に取り上げたかったお店です。
ちなみに
月変わりの「縁日の御菓子」は
11月は『かるかんと栗むし羊かん』の二段物、だって。
そしてお酉様の日だけの「切りようかん」「切山椒」が。
やっぱりまた行こうっと。
●『栗むし羊かん』のおいしさ
↑パックから取り出し、側面を拝見
こちらは『栗むし羊かん』の元祖と言われています。
江戸時代に初代が考案、
そのまま伝わっているというだけあって
本当においしい。しかもリーズナブル(一棹945円)。
時に名物に美味い物あり、です。
和菓子ファンはどちらかというと
「練り羊羹より蒸し羊かんを好む」と聞いたことが。
確かに、日保ちのしないその製法が
小豆のおいしさをしっかり味わえるもんね。
個人的には断然『蒸し羊かん』派です。
ちなみに蒸し羊かんの方が歴史も古く
「蒸し羊かん」だけの時代は長かった。
さてさて、名物のおいしい
『栗むし羊かん』 の材料は
小豆、砂糖、小麦粉、塩 栗だけのシンプルなもの。
真空パックしてあって日持ちは4週間程度。
↑クリックね、真空パックです
封を切ったらさっさといただきましょうね、
栗は足が早い、ですから。
しかもここのは羊かんも栗も甘みがさっぱりして
柔らかい。
とにかく「栗」の風味と甘み加減、ボリューム、
「蒸し羊かん」の風味と甘さ、
それぞれのバランスがとてもよく
栗の甘露煮にありがちな「えぐみ」もなく
味そのものも良い。
一棹280グラム、
このクオリティでこの値段ってほんとにすごい。
真空パックがこの際ありがたいです。
「栗」のバランスがじつに調度良いかんじで
おいしく残さずいただける。
甘露煮が大好物でないだけに逆にジャッジが厳しいのよ、
偉そうだけど。
和菓子ってバランスは重要ですね。
●栗と羊かんのバランスの実証?
個人的な印象をちょっと「語っちゃう」と
(えへへ)
最近いろいろ食べた「栗むし羊かん」で感じた
おいしさのポイントは
栗の甘みの方が控えめなところ。
多分
「栗の甘さが羊かんより甘くない」のが
おいしい「栗むし羊かん」に共通する秘訣みたい。
↑空飛ぶ『栗むし羊かん』・・
9月18日号の
自家製『ごろごろ生栗の蒸し羊羹』と同じこしあんで
今度は市販の甘露煮の「密切りした栗」で
同様に「栗むし羊羹」を作ったけど
あれ?でした。
生の茹で栗のが好きだ・・。
興味がわいたので
糖度計で五種類の栗むし羊かんの
「糖度」を計測してみました。
今回エントリーの「栗むし羊かん」さんは
NO.1 「龍昇亭西むらさん」くり。
NO.2 茶菓子の銘店「ときわ木さん」くり(10月22日掲載)。
NO.3 あんころりん製「甘露煮の栗むし羊かん」くり。
NO.4 「最短ご近所和菓子屋さん」くり。
NO.5 「山崎製パン・旬の味」くり。
です。
素人が計測しているので
まあいい加減なんだけど。
自分で納得してるだけですから。
・・・・
と、この先まだ長くなるので
続きは次回(明日予定)です、すみません。
―『豆大福』もうまいよっ。
注※)掛茶屋とは、道端、路傍、社寺の境内などに葭簀(よしず)を掛けて造った茶屋。
腰掛茶屋。江戸時代にこの辺りは「茶屋町」=茶店が立ち並んでいたそうだ。
【和菓子の最新記事】
- 初開催!された“東京あんこ通り” その一
- 史上初のすごい!Wagashiイベント「和菓子老舗 若き匠たちの挑戦」新宿で..
- 松島屋の栗蒸し羊かんに感激
初見は草大福,いつもの豆大福,きび大福,豆餅 - トリオでもちもち江戸風大福!新米だって古代米
一幸庵「腹太餅」は大福のルーツ - つるっと冷や〜流しあんみつ粒あん仕立て
麻布昇月堂もちもち粒々すべすべ,ぜんぶ.. - つぶつぶ栗入り黒糖ようかん
さっぱりハイブリッドな名脇役 - おお!モンドリアン風?もちもちな苺、とか
ホワイトチョコの生ういろ「虎屋ういろ.. - 小粋な「空也」の空也双紙とようかん
これが一番クールな銀座…前編 - 酒かすにて候 黒平糖、黒みつ生姜
小宇宙の見える?『家傳京飴 祇園小石』 - 今日があなたの“モナカ記念日”
香雲堂本店の『古印最中』 - 今度の『いきなり団子』は『芋屋長兵衛』
- 『栗茶巾』と『黒まんじゅう』
日本橋『ときわ木』から - 日本橋『ときわ木』年3回だけの『若紫』
- 浅草シリーズ第三弾◇『徳太楼』まずは名物『きんつば』から
- 『萩乃菓子司』のお萩、蒸し羊羹、草大福、どら焼き・・・
- 『金龍山浅草餅本舗』の『切山椒』
- 谷中で香りの和菓子、『喜久月』と『谷中岡埜栄泉』−前編
- 熊本名物「いきなり団子」は『いきなりだご』
- 『亀泉堂』再び―『四ツ折最中』と『カステラ』
- 菓匠 若松園義正の『名水水ようかん』は裏銘品
> 「栗の甘さが羊かんより甘くない」
わたしもそう思います〜。ああ最近食べていないな蒸し羊羹。
しかし・・・飛ばすな飛ばすな羊羹をっ(笑)
いえ、青空をバックにおいしそうでクラクラしましたけど。
その場にいたらワンっとジャンプして飛びついたと思いますけど。
反応はやいっす、早過ぎ!(笑)
そうですよね、ビ〜バのんのん蒸し羊羹♪
わかってらっしゃる。
>羊かんより甘くない
そうか賛同を得られて良かったー。kozueさんの言葉で確信しちゃいますわ。
ほい、
天高く!栗蒸し羊羹も飛ぶ、秋なんですよー。
わんころりん。でも雨だな、何でだ。
ありがとうございます♪
面白いですよね、糖度って。
ここのところ必ずと言って良いほど
糖度計を使用しているんです。
どら焼きや豆大福も浅草シリーズでは
すべて試してま〜す。
9月28日からの記事には概ね使っているので
興味があればぜひご覧下さいね。
次の浅草散歩では絶対に!!!コレを買います。
確かに気取りのない老舗、私はしっかり見逃しました(とほほ)
版画屋に行こうかと思う気持ち、わかります。
そういう気持ちがあんころりんさんの記事に表れていますね。内容がつまっていますから。(尊敬)
リーズナブルで飽きないおいしさです。
11月頃なら「生栗蒸し羊羹」も。
単なるおみやげやさんに紛れているかんじで
つい見逃すお店ですよね。
pecochan77さんはわかっていただけますか?
つい余計?なものに囚われて
どんどん横道に逸れるのが、また楽しくなっちゃうんんですよね。
尊敬!なんて、またまた。きゃー照れちゃいます。
でも記事をわかって下さって
ありがとうございます。
子供の頃、「西むら」の近所に住んでいて、
懐かしくてコメントしてみました。
おまんじゅうもおいしいんですよね。
すごくいい匂いがして。
「西むら」、久しぶりに食べたくなりました。
コメントありがとうございます。
わー素敵な場所にお住まいだったんですね、
羨ましい!さぞや素敵な子供時代だったのでは?
おまんじゅうもおいしいそうですね、
そういえば目移りばかりで買う物が多すぎて
食べたことありません。素敵な情報をありがとうございます♪
こんにちは、初めまして。
コメントをありがとうございます。この記事をきっかけに入らして下さったなんてとても嬉しいです♪しかも気に入っていただけたなら本当に何よりです。本当においしいものって何気なくさらりと頂けるのが「違い」なんですよねー。通販情報知りませんでした!貴重な情報本当にありがとうございます。これからもいろいろ教えて下さいね♪そして気が向いたらコメントなどもお寄せ下さい。よろしくお願いします☆☆