↑『栗茶巾』と黒、の焼き印『黒まんじゅう』
前回10月22日に
年3回だけの『若紫』 を紹介した
御菓子司ときわ木
(中央区日本橋1-15-4 土日祝休 9時半〜17時半)。
宣伝や広告は見かけないけれど
『生菓子(主菓子)』において、とても高い評価を得て・・・・・
2005年の「和菓子風土記」
の中でも「東京でベスト5」、なんて記述を見かけます。
『若紫』も味から存在からすごいお菓子だけど。
『ときわ木』は通年、生菓子が中心で
実際にとても素晴らしい。
少ない経験でおこがまし過ぎるけど(朝生ばっかりだから)
上生菓子としてはほんとに5本指入りなんです。
(年中、感嘆してるので説得力ないな))
●お重箱から選ぶお菓子
『ときわ木』はいわゆる「番重」(ショーケースの角盆)
にはお菓子を並べていません。
↑クリックね、店内。
客に見せるときにお重箱を並べます
この日もお店に入ると
ご主人と思しき年配の和菓子職人の方が
さっと出ていらして
お菓子をお願いすると置いてある
木製三段の『お重箱』から
中を見せてくれます。
腰の低いとてもやさしいご主人を
(癒しを感じる、と言っては失礼なお年でしょうけど)
初め、わからないことがあればお店の方はとても親切です。
和菓子を選ぶのだから
ゆったり穏やかな心持ちでいたいですよね。ほんとに。
店の外とは別な時間、たまには余裕のある気持ちで。
10月に入りすっかりお菓子も「秋晴れ」の様子で
お重箱に並んでいます。
どれもこれもおいしいそうで選べない。
結局全種類をいただくことに。
そして「最中」も一つ。
↑クリックね、木製のお重箱の中、手前右に栗茶巾
余裕ある、と言いつつ、大変無粋ですが
これだけ(八個)選んでも、漱石さん二人で足りてしまう。
―根が貧乏性で・・つい。
いいな〜和菓子って。うふふふ
これでとっても豊かな気分が味わえるんです。
週一回は茶道の稽古で
おいしい主菓子(太市御製)をいただけるので
なかなか、ここまで足を運ばないのですが、
とにかく味が抜群に良いの。
それから「最中」や「おまんじゅう」も形容詞なしで
「おいしい!」←べたな表現の方がパンチあるでしょ。
それくらい味覚にも訴える上生菓子です。
●主菓子としての『栗茶巾』
↑煉切と栗を茶巾絞りに
今回の
秋の「栗」のお菓子は『栗むし羊羹』と
この『栗茶巾』 。
栗鹿の子ではなく、栗茶巾。
これまで、栗のお菓子はほぼ通り過ぎてました。
おいしい栗の蜜漬けが少ないので
ちょっとがっかりする事が多いんだもの。
―余談ですが先日「心庵梅むら」のご主人にうかがったら
自家製の栗の蜜漬けの和菓子屋さんがとても少ない、
なんておしゃってました、それでか?―
なもんで最初はこの「たっぷりの栗」にやや及び腰。
にも関わらず、
この『栗茶巾』は優雅で繊細で美味!
思わず「うま〜い」
栗むし羊羹とはまた違うなめらかな触(食)感。
みめも麗しい上にノーブルで奥深い味わい。
※「煉切」のお菓子ですがと〜ってもスムースで
栗もおいしくて・・・断面をご覧いただくとおわかり?でしょうか。
煉切、中のこしあんと「栗」がほとんど同じ柔らかさで
一体化してます。
↑クリックね、きれいな断面ですから
お茶席などでは注)※「主菓子」は懐紙の上に乗せて
黒文字(の木の楊枝)で切りながらさしていただくので
栗がごろっとしてると、客は困っちゃうんですね。
とすると、この一体感は機能的でもある。
固い栗鹿の子だったりすると「ころん」なんてね。
想像すると面白いけどやはり、そりゃまずい。
和菓子スタジオ「へちま」の金塚先生もおしゃってましたが、
「茶巾絞り」は実は難しい技だそうです。
何だか意外。もちろん出来ませんけど。
こんなに「蜜漬けの栗」の上生菓子がまた食べた〜いと思えたのは
初めてなんです。今も書いてると思い出して・・バカな奴。
●黒糖あんの『黒まんじゅう』
もう一つの『黒まんじゅう』も秘やかに人気。
「薯預まんじゅう」で通年のお菓子だと思います。
作るが難しいとされるおまんじゅう=「薯預まんじゅう」
については「うさぎやの『うさぎまんじゅう』」」に
あれこれ書いているので興味があれば。
茶菓子中心の御菓子司ですが
このおまんじゅうは珍しく「黒糖あん」です。
黒糖好きに、これが好物という方は多いみたい。
試しに身近な「黒糖まんじゅう」ファンにあげたら
「お〜いしい♪」とそれはそれは喜んでいました。
↑断面でございます、栗茶巾と黒まんじゅう
しっとり柔らかな白い薯預生地の中の
真っ黒!な黒糖あんの香りの高さは驚きです。
しかも黒糖ながら後味の良さ、甘さのひきの見事さは
『若紫』と似ています。
白と黒の色もきれいだー。
これらの見事な技と感性の和菓子を
あの腰の低いやさしげな年配のご主人(失礼)
が作り出すんですから・・
何だか騙されてるみたいに不思議。
作業場がお店の奥なので様子から想像すると
ご主人と息子さんのお二人で
毎日々々丁寧に作業するのだと思います。
ごく当たり前に素晴らしいものを
黙って作り続ける・・・
ちっぽけな記事の中から尊敬と感謝の気持ちを込めて
「お、おいし〜い」
ありがとうございまっす。
★「栗茶巾」は一個280円「黒まんじゅう」は一個250円
注)主菓子=甘味の充分な、量感のある生菓子。
元々は濃茶の前にいただくものだけど、現在はお茶会や
茶道の稽古などは薄茶の前も主菓子でいただく事が多い。
良かったらカテゴリーの『茶道と菓子』を見てね。
注)煉切=餡に求肥・つくね(大和)芋・葛種・みじん粉など
のつなぎを加え、火を入れて練り上げた餡
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丁寧に作られている感じが写真で伝わってきますね。
本当に美味しそうです。普段、一つ250円以上の御菓子は
ちょっと高いような気がする貧乏性な私ですが、
ココのはその値段も頷ける気がします。素人な私ですが…(^-^;)
それにしても1番最初と最後の空をバックに
御菓子が並んでる写真がすっごく綺麗ですね☆
食べたい!!と一言につきますね!
日本橋は会社からだとそう遠くはないのですが、
17時半までなんですね、帰りには行けない…、
昼休みに走るしかなさそうです〜!(笑)
とっても優しいご主人にも会いたいし
一度行ってみたいお店リストに追加します!
そのステキさをじゅうぶんに紹介してくださるあんころりんさんも素晴らしい。
ありがとう。ほんとにいつもありがとう。
最初のお写真が頭1/4まで読み込んで表示が止まってしまったのです。そう、お空をバックに黒まんじゅうの頭だけひょっこりと。
そんな笑わせ方のポイントもおさえたあんころりんさん、スバラシイ。いや、これはあんころりんさんの意図するところではないと思いますが(笑)
ありがとうございます♪
昨日今日と何だかお疲れ様ですね。ぷっは〜。
でもここのお菓子を秋空の下でいただけば、
勇気6倍、元気94倍くらいになりますよ。
おじいちゃまの職人さんが可愛いの。
お嫁さん?らしき女性もとっても温かくて良〜いお店です。
最中も140円ですごーくおいしいのでお薦めですよ。最中いっぱい買うのもいいなって思ってます。でも栗茶巾おいしい。藤袴(画像の藤色)もおいしい。懐具合でどうぞって、自主的回し者?
★kozueさん♪
いつもありがとうございます。
何だかkozueさん(やちょこさん↑)の声を読むと
ほっとするなー。だってツボにはまった笑いを取っていくんだから。画像を良いところで止めるの結構難しいんですよ〜、な訳ないけど。
その「あたまひょっこり」見てみたい♪
あれ、和菓子の良さを語らうつもりが・・。
★kozueさん
あえて連名で書かせて下さいね。
お二人のように
リスペクトの心のある人を心からリスペクトします。
例えばこんな作り手さん達のこと
わかっていただけるのってとても嬉しいのです
ツボって言う奴ね。
たまには真面目にコメントしようとすると
む、無理が・・・。
でもほんとにこれからもよろしくお願いします。
何故か連名にしたかったので。お許しを。
これからもよろしくお願いします。
もともと和菓子の季節感は感じていたつもりですが、数年前の春に急に暖かくなって桜前線がすごい勢いで上昇しちゃったとき、「和菓子屋さんが予想外の早さに桜のお菓子の準備で大わらわ」みたいな話を聞いたのです。しかもあっという間に散ってしまって、もう引っ込めるべきか、いつもなら桜の季節な期間まで出そうか判断に悩んだとか。どちらのお店の話だったか忘れてしまったのですが。
この話になんだかものすごく感激してしまって、それ以来和菓子をいただくときは本当にココロから感謝の日々です。
お菓子の味とともに職人さんの心意気まで感じ取ってレポしてくださるあんころりんさんにも、海より深く感謝です。
kozue様
こんにちは!なんだかお二人に比べて私は、
ほんとーーーにただの食いしん坊なだけなので、
恐縮してしまうばかりです…。
でも師匠無知な私を見捨てないでやって下さい〜!
これからもついていきます〜!ははぁ〜〜!!m(_ _)m
kozueさんが作り手の「心意気」を大切にしている、っていうのはすごく感じてます。私も稚拙ながらこれからも頑張って心意気、伝えるので
山よりも高く?よろしくお願いします。
ほめらると天狗になるけど、うれしいです、
えへへ。
★ちょこさん
へへえ〜m(_ _)m(←特別絵文字)こちらこそ楽しい記事のお手本にさせていただいてます、見捨てられてもついて行きますぜ、私は。
いただいてます、